顎関節症とTCH
こんにちは。今回は顎関節症についてのお話です。
顎関節症とは?
顎関節症の主な症状は、「口を開け閉めするときに音がする」「口を開け閉めするときに痛みがある」「口が開きにくい、開かない」などです。
口を開け閉めするときには、肘や膝の関節と同じように、「顎関節」と呼ばれる関節がスムーズに動かなくてはいけません。顎関節とは、上顎骨と下顎骨をジョイントする部分で、上顎骨と下顎骨の間には、骨同士がこすれないように「関節円板」という繊維性のクッションのようなものが介在しています。また、関節を動かすためには様々な関節周囲の筋肉の動きが連動します。
関節円板や周囲筋の不具合によって引き起こされる一連の症状を「顎関節症」といいます。
顎関節症の治療
顎関節症にはいくつかの分類があります。
まずは、関節周囲の筋肉によって口の開け閉めがしづらくなっている状態です。これは、いわゆる筋肉痛のような症状ですので、基本的には安静にするのがいちばんです。食いしばりのひどい方にはマウスピースを作製します。場合によっては鎮痛剤を使用したり、レーザーによる血行促進などの治療をすることがあります。
次に、関節円板に問題があるケースです。関節円板の位置がずれたり、関節円板自体が変形したりすると、口を開け閉めするときに円板がひっかかってしまい、「パキッ」「ジャリ」という音がすることがあります。音が鳴っても、痛みがなく、軽度の場合は治療が必要でないことがほとんどです。口の開け閉めのときに痛みを伴い、日常生活に支障をきたしているときは、治療が必要になります。まずは関節を安静にするのが重要です。マウスピースをはめることで、関節腔と呼ばれる上顎と下顎の間の隙間を少し広げることができますので、関節円板が正常な状態に戻りやすくなります。痛みの症状が落ち着いたら徐々に、口を開けていく開口訓練を行います。全く口が開かない重度の場合には、その状態で癒着してしまうことを防ぐため、関節腔内に潤滑液を直接挿入して開口させることもあります。
顎関節症の原因と、注意したいTCH!
顎関節症となる原因は人それぞれですが、生活習慣の中に潜んでいることがほとんどです。顎関節や筋肉に負担になる習慣、みなさんも心当たりはありませんか?
・家族から、寝ている間に歯ぎしりしていると指摘を受けた。もしくは、朝起きたとき顎がだるい。
・日中、作業に集中しているときなどに食いしばる癖がある。
・姿勢が悪い、猫背気味である。(猫背になると、下あごが前方に出るのを防ごうとするため顎が緊張します。)
・うつぶせ寝の習慣がある。
・頬づえをつく癖がある。
いずれも、顎に負担がかかる習慣です。
特に、夜間の歯ぎしりや食いしばりは、起きているときと違い、自分の意志でコントロールが出来ませんので、数十キロ~数百キロの力がかかっていることもあります。顎の関節に悪影響なのはもちろんのこと、歯自体がひび割れを起こすリスクもあります。夜間はマウスピース(ナイトガード)を使用して、力を逃がしてあげるようにしたほうが良いでしょう。マウスピースは歯科医院で作製することができます。
また、日中、何もしていないときに、上の歯と下の歯が当たっていませんか?
これは、TCH(tooth contacting habit:歯列接触癖)と呼ばれ、顎や歯に不具合が起こる原因のひとつです。
ものを食べていないときは、上下の歯の間はわずかに開いているのが正常な状態です。しかし、無意識的に、上下の歯を合わせることが癖になっている方もいます。グッと力を入れる食いしばりももちろん顎や歯に悪いのですが、上下の歯が触れているだけでも、顎や筋肉にとってはとても負担になります。
TCHは、ご自身で気付き、改善することのできる習慣です。もしこの癖がある方は、意識的に「上下の歯を離し、楽にする」ことをしてみられてくださいね。