「以前治療したところのはずなのに痛みがあるのです。」という主訴で来院される方もよくいらっしゃいます。

結論から申しますと、

一度でも治療した歯はまた悪くなりやすい！

です。むし歯になってしまった歯は、治療をしても「治る」訳ではありません。むし歯になったところをきれいに除去し、除去した部分は人工的な詰め物で修復します。詰め物には、CR（樹脂の素材）や、金属、セラミックなどの素材の違いはありますが、どうしても健康な歯と人工物との間には多少のギャップができます。そこの隙間から繰り返しむし歯になりやすいのです。こうしてできたむし歯を「２次カリエス」と呼びます。

特に治療したむし歯が神経に近かった場合は要注意です。むし歯菌というのは目には見えません。深いむし歯の治療をした場合、むし歯菌が神経の管に入っていってしまうことがあります。その時は症状がなくても、徐々に徐々に神経がばい菌に侵され、しばらく経過してから症状が出ることもあります。主な症状は、「冷たいものがしみる」「熱いものがしみる」「噛んだら痛む」「少し歯が揺れている気がする」「歯の根元にぷっくりした腫れがある」などです。場合によってはなかなか症状が出ず、数年後にたまたまレントゲン検査で神経が死んでいるのを発見することもあります。

神経をとっているはずの歯が痛む？

また、神経をとっている歯も要注意です。むし歯が神経までいくと、専門用語では「抜髄」と言いますが、「神経をとる」治療が必要になります。神経をとると、元々あった神経の管が空洞になりますので、そこにばい菌が入って化膿しないようにお薬を緊密に詰めてから差し歯を作製します。根っこをお薬で塞ぐ際には、可能な限りばい菌を取り除きますが、前述のとおりむし歯菌は目に見えるものではありませんので、そこにばい菌が残ってしまった場合、神経の管を経由してばい菌が繁殖し、歯の根の先に膿がたまってしまうことがあります。この状態を「化膿性根尖性歯周炎」と呼びます。この状態になると、歯の神経はとってありますが、根の先に強い炎症があることで痛みが出ます。差し歯になっている歯で、「かんだら痛む」「根元を抑えると痛む」「根元が腫れている」等の症状がある場合は化膿性根尖性歯周炎になっている可能性が高いです。これは基本的に自然治癒することはありませんので、差し歯を外して中の再消毒が必要です。

信頼できる歯医者さんで治療を受け、その後のメインテナンスもお忘れなく

私たちなつの木ファミリー歯科では、自分や自分の家族に治療を行うときのように、患者さまおひとりおひとりに誠実な治療を心がけております。できる限り再治療にならないよう配慮するのはもちろんのこと、日々技術の向上を図っています。

また、患者さまご自身でのリスク回避は、やはり定期メインテナンスの受診が重要です。定期的にプロのクリーニングを受けることで、ご自分で磨けていない部分までケアできるために２次カリエスになるリスクがグンと下がります。また、万が一悪くなっている部分があっても、早期発見・早期治療をすることでダメージを最小限にすることができます。痛みなどの症状がない時こそ、定期メインテナンスを受診しましょう。